いいんじゃ / 人材プロデュース
2回目以降の1on1 ─ 60分フォーマット v0.1

聞く → 合意する → 握る

初回は「聞く」だけで成立しました。2回目からは合意して握らないと、ただの雑談に戻ります
この60分は「見立てを当てて合意する」1テーマのために使います。前後は助走と着地です。

報酬・査定とは非連動 1回1テーマ 本人に考えさせるのが肝 逐語ログは上げない
00土台

この60分を貫く3つの原則

いずれも外部の実践から採り、いいんじゃの既存設計とすでに構造が一致していたものです。

原則 1
1回1テーマ

複数の話題を同時に扱うとブレる。その日に話すテーマはそれだけにする。60分あっても「全ブロックを埋める」をやらない。

出典:曽山哲人氏(サイバーエージェント)カオナビ ユーザー会レポート
原則 2
面談は「期待」とセット

聞くだけで終わらせない。会社がこの人に何を期待しているかを言葉にして渡す。フィードバックは詰めではなく贈り物(Feedback is gift)。

出典:曽山哲人氏 同上
原則 3
答えでなく「思考過程」を変える

やることを指示せず、「何を・どの順番で・どうやるか」を本人にプレゼンさせる(入口管理)。最終成果物だけ見る出口管理をしない。

出典:李英俊氏(マインドセット株式会社)新R25 インタビュー
いいんじゃの既存設計とすでに一致していた点: RUNサイクルの③「作戦会議=本人に考えさせる」= 李氏の入口管理そのもの。 進化クエスト(外に染み出す挑戦を会社が支援)= 曽山氏の「抜擢=未経験なことを体験させる」および李氏の「本番環境」と同じ構造。 ── 新しい理論を持ち込むのではなく、すでにやろうとしていたことに名前と型がついたと捉えてください。
0160分の型

開く → 拾う → 当てる → 賭ける → 渡す

各ブロックに「聞くこと/合意すること/握ること」を分けて置いています。曽山=曽山氏由来/=李氏由来。

0–10

① 開く 曽山

狙い:いきなり本題に入らない。本人が楽しく話せることを先に深掘りしてから、本当に聞きたいことに入る
聞くこと
  • この1〜2ヶ月でいちばん面白かった仕事は?
  • それのどこが面白かった?
  • (初回で聞けていなければ)なぜこの会社に入ったのか
合意すること

なし。ここは合意しない。温度を上げるためだけの10分。

握ること

今日は査定の話をしないことを最初に宣言する。
「ここで話したことは評価には載りません」

言い方の例「今日は評価の話は一切しません。◯◯さんをどう伸ばすかだけを一緒に考える時間です。まず、最近の仕事でいちばん面白かったのって何ですか?」
10–25

② 拾う

狙い:本人から引き出す。ここで取った情報は上に上げない(=拾う情報。回収する情報とは分ける)
聞くこと
  • いちばん「自分らしく勝てた」仕事は?そのとき何をしていた?
  • 周りから何で頼られることが多い?
  • 逆に、やらなくていいなら一生やりたくないことは?
  • いま持っている仕事で「やらされてる」に近いのはどれ?
合意すること

ユニークアビリティの3ワード(暫定)
この場で確定しなくてよい。「今日はこの3つで置いてみよう」でOK。

握ること

3ワードを言葉として一度声に出す
言いにくい・しっくりこない語はその場で捨てる。

Willが出てこないとき「将来やりたいことは、無くて普通です。じゃあ逆に、これまでで一番"やっててよかった"と思った瞬間ってどれですか?」→ Canから逆算してHRが仮説を出す。空欄のまま次に進んでよい
25–40
分 ★本題

③ 当てる ── この回のメインテーマ

狙い:HRの見立てを口頭でぶつけて、合意 or 修正する。ここだけが今日の1テーマ
聞くこと
  • (見立てを話した上で)「これ、当たってますか?」
  • 違うならどこが違う
  • この方向で伸ばすとして、ワクワクしますか
合意すること

プロデュースの方向性(この人はこう花開く、という仮説)。
合意できたものだけが、本人のシートの「一言で表すと」に昇格する。

握ること

尖らせる方向を1つ
そしていま伸ばさないものも1つ(=苦手を平均化しない)。

見立てを押し付けにしない言い方「これは僕の勝手な見立てなので違ったら言ってほしいんですが ── ◯◯さんは△△で勝つ人だと思っていて、だから□□を伸ばすのが一番効くんじゃないかと思ってます。どうですか?」
「いまは伸ばさない」を伝える言い方「苦手を平均点にする時間がもったいないと思っていて、今期は△△は僕が引き取ります。◯◯さんは□□に全部使ってください」── 諦めではなく配分の話として渡す。
⚠️ 見立て・型・称賛の仕掛けは、紙で渡さない。口頭で当てて、合意できたものだけが本人版シートに載る。 紙で見せると①決めつけに見える ②本人がそれに合わせにいって検証にならない。
40–55

④ 賭ける 曽山

狙い:次の3ヶ月で何にリスクをベットするかを決める。ここが人が伸びる唯一の場所
聞くこと
  • この3ヶ月でやったことがないことを1つやるとしたら何?
  • それ、失敗したら少し恥ずかしいやつですか?(=本番環境になっているか)
  • 会社は何を出せばいい?(経費・紹介・機会)
合意すること

進化クエスト1つ(=抜擢=未経験を体験させる)。
そして「まずはここだけ100点」の範囲を明示する。

握ること

次回までに本人が戦略をプレゼンする約束。
「何を・どの順番で・どうやるか」を本人に考えさせる

失敗の扱いを"先に"握る(これを言わないと賭けられない)
「これ、失敗する可能性あります。失敗しても評価は下げません。失敗したら一緒に何が起きたか見て、次に活かします」
── 曽山氏の自走サイクル=抜擢 → 決断 → 失敗 → 学習。失敗は事故ではなく、サイクルの構成要素として最初から入っている。
入口管理の渡し方「やり方はこちらから指示しません。次回、"何をどの順でどうやるか"を5分で説明してもらえますか。そこに僕がツッコみます」
55–60

⑤ 渡す 曽山

狙い:期待を言葉にして渡して終わる。聞いて終わらない
聞くこと

なし。ここはHRが話す5分

合意すること

次回の日程。
(=この場で押さえる。後日調整にしない)

握ること

会社がこの人に期待していることを1文で伝える。
そして今日握った3つを復唱して確認

締め方の例「今日握ったのは3つです。①◯◯さんは△△×□□×◇◇で勝つ人 ②この3ヶ月は▲▲に挑戦する ③次回それをどうやるか説明してもらう。
会社としては、◯◯さんに□□の第一人者になってほしいと思っています。だから今回の挑戦を全部サポートします」
02持ち帰るもの

60分が終わったときに「握れている」3つ

これが揃っていなければ、その回は雑談で終わったということです。

1
ユニークアビリティ(暫定)

3ワードが本人の口から出て、声に出して読める状態になっている。

確認:本人が自分の言葉で言い直せるか
2
次の3ヶ月の「賭け」

やったことがないことを1つ。失敗しても評価が下がらないと明言済み。会社が出す装備も決まっている。

確認:それは少し怖いか?(怖くないなら本番環境になっていない)
3
次回の宿題=戦略のプレゼン

「何を・どの順番で・どうやるか」を本人が考えて次回話す。HRは答えを渡さない。

確認:日程が押さえてあるか
03やらない

この60分でやらないこと

やらない理由
シートの全ブロックを埋める1回1テーマの原則に反する。埋まらない欄は次回でいい
戦闘力シート・等級・年収の話開いた瞬間に査定面談になり、「本人に考えさせる」が死ぬ。現在地の参照は事前にHRが済ませておく
やり方を指示する出口管理になる。思考過程が変わらず、次も同じ相談が来る
見立て・型・称賛の仕掛けを紙で渡す決めつけに見える/本人が合わせにいって検証にならない。口頭で当てる
宿題を2つ以上出す賭けは1つ。増やすと全部やらない
その場でメモを取り続ける相手が「記録されている」と感じた瞬間に本音が止まる。終了後10分で書く
04前後

60分の前と後にやること

いつやること
前日まで(HR・15分)①前回の記録を読む ②見立ての仮決めを1文で書いて持っていく(手ぶらで行かない)③戦闘力シートの現在地を頭に入れておく(会話では出さない)④この回の1テーマを決める
直後(10分)AI議事録を待たずに、HRが自分で確定3行を書く(①握った3つ ②本人の言葉でそのまま残す表現 ③次回の宿題)。AI議事録は素材であって記録ではない
上に上げるもの要約のみ。逐語ログは上げない。上げるのは「配置・育成の判断に要る情報」だけで、本人の違和感・愚痴は上げない
次回冒頭で本人の戦略プレゼン5分から始める(=入口管理)。そこにHRがツッコむ
⚠️ 記録の運用に既知の事故があります。7/22〜31の初回1on1では、AI議事録(tl;dv)で話者ラベルの取り違えが起き、 同じ経歴が3人に紐づいていました。さらに8名中4名は本文が空でした。
AI議事録だけを記録にしない。直後10分でHRが自分の言葉で3行書く運用にしてください。
05出典

採った観点と、採らなかった観点

人物の発言は裏取りしたものだけを使っています。確認できなかったものは意図的に外しました

採用した観点誰の出典
1回1テーマ/面談は期待とセット/パッションから入る/Feedback is gift/自走目標曽山哲人氏
サイバーエージェント
カオナビ ユーザー会レポート
自走サイクル=抜擢→決断→失敗→学習/抜擢=未経験なことを体験させる/上司の役割=期待を伝える・失敗後に労う曽山哲人氏GLOBIS学び放題
本番環境=リスクをベットさせる入口管理=戦略をプレゼンさせ思考過程を変える/段階的権限委譲=まずはここだけ100点/出口管理の回避李英俊氏
マインドセット株式会社
新R25 インタビュー
Have to を捨てて Want to へ/「これならできそう」と思える自己効力感李英俊氏・堀田創氏『チームが自然に生まれ変わる』書誌情報
採らなかったもの(裏が取れなかったため):
・曽山氏の「毎月の面談では3つだけ聞く(先月の振り返り/今月のアクション/中長期)」=検索結果の要約には出たが、当たった2つの記事では確認できず
・李氏の「エフィカシー」「現状の外側のゴール」「内部モデル」=当たった記事では確認できず(書籍本文には記載がある可能性あり)。
・7/22MTGで「ユニークアビリティ=リーさんの理論」と記録されていますが、李氏がこの語を使っているソースは見つかりませんでした。 「ユニークアビリティ」は別の出自(Strategic Coach社の登録概念など)の可能性があるため、社内では「3ワードで自分を表す」という運用ルールとしてのみ扱うのが安全です。