いいんじゃ / 人材プロデュース
HR・上長版 v0.3 ─ 見立てを立て、機会を渡すための面

メンバー版の裏側で、HRが持っておくもの

メンバー版と同じ17項目を追いながら、各項目に「何を見るか」と「コメント欄」を足しています。
加えて、本人には渡さない4ブロック(見立て・資質・称賛の設計・アラート)と機会リストを持ちます。

取り扱い注意。本シートは本人に紙で渡しません。見立て・資質・型は「HRの仮説」であり、 紙で見せると①決めつけに見える ②本人がそれに合わせにいって検証にならない、の2つが起きます。
会話では必ず当てる(「こう見えてるんだけどどう?」)。合意できたものだけがメンバー版に昇格します。
01本人シートを読む

17項目 ── 何を見て、何を書き込むか

左=本人の記入内容から読み取ること/右=HR・上長が書き込む欄。★は特に重要な観察点。

1私は何をする人かWHY
★ ここを見る
  • 職種名で答えていないか(=まだ自分を定義できていない)
  • 動詞になっているか
  • 本人の顔が浮かぶ言葉か/誰にでも当てはまる言葉になっていないか
HRの他認(本人には見せず、会話で当てる)
自認とのズレ = 今日いちばん話す価値のある場所
2どこへ行きたいか(105%/120%)
★ ここを見る
  • 量で書いていないか(案件数・稼働時間で書いていたら書き直してもらう)
  • 「頼まれごとの質の変化」になっているか
  • 105%と120%が同じことの言い換えになっていないか
現実性の見立て(HR)
その目標に必要な機会は、社内に存在するか
3なぜそこを目指すのか
★ ここを見る
  • 本人の言葉で出てきたか/会社の期待をなぞっただけになっていないか
  • 空欄なら正常。Canから逆算して仮説を出す
  • 2回続けて空欄ならアラート候補
HRが出した仮説(Canからの逆算)
4やりたくないこと・降りたいこと
★ ここを見る
  • 書けているか=信頼の温度計。空欄が続くなら関係がまだ浅い
  • 降りたい理由が「苦手」か「不公平感」かで打ち手が変わる
アサインの除外条件として記録
5ユニークアビリティ(3ワード)HOW
★ ここを見る
  • 3つが同じことの言い換えになっていないか(=分解できていない)
  • 掛け算で希少になっているか(3つとも平凡でも組み合わせが珍しければ良い)
  • 3足のわらじで出してもらった場合、共通して出てくる語があるか=それが本命
  • 本人が声に出して言えるか(言いにくい語は捨てる)
HRから見た3ワード(会話で当てる)
まだ言語化が浅い場合の次の一手
6スキル(ハード/ソフト)
★ ここを見る
  • 本人の自認と戦闘力シートの現在地がズレていないか
  • ズレている場合、過小評価か過大評価か(打ち手が真逆になる)
戦闘力シートからの参照(サマリのみ)
HRコメント
戦闘力シートとの見せ方(要検討): 全項目(ハード17×ソフト15)をこのシートに載せると読めなくなります。持ってくるのは3つだけを推奨: ①ハード段/ソフト段の現在地 ②直近で最も伸びた項目 ③今期の挑戦に直結する項目。点数は本人版には出さない
7人脈(どの界隈にいるか)
★ ここを見る
  • 繋がっていない領域はどこか(ここが次の機会の候補になる)
  • 社外がゼロなら、いきなり飛び込ませない。同行から
  • その界隈は本人の目標に効くか(趣味の繋がりで終わっていないか)
次に繋ぐべき先(HRの持ち駒)
8知識/社内に与えられる影響力
★ ここを見る
  • 暗黙知の欄が空=まだ人に会いに行けていないサイン
  • 影響力(スキル面)=「この人に聞けば分かる」が社内に成立しているか
  • 影響力(経験面)=判断を任される場面があるか
  • 両方空なら、まず社内で1つ"聞かれる人"になるのが先
HRコメント
9今期のチャレンジWHAT
★ ここを見る
  • 「少し怖い」か=怖くないならチャレンジになっていない
  • やったことがある領域の延長になっていないか
  • WHY・HOWと繋がっているか(唐突なチャレンジは続かない)
  • 1つに絞れているか(2つ以上は全部やらない)
HRが用意した候補(機会リストから2〜3個)
本人から出てきたものが最優先。候補は出てこないときの備え
10やりきるポイント
★ ここを見る
  • 一点に絞れているか(全部を完璧に、になっていないか)
  • それは本人がコントロールできる範囲か(相手都合で決まるものを置いていないか)
失敗してよい範囲(上長が決めて先に伝える)
これを先に言わないと人は賭けられない
11今期やらないこと
★ ここを見る
  • 「諦め」と受け取られていないか(=配分の話として伝わったか)
  • 引き取り先が決まっているか(やらないだけだと不安になる)
引き取り先
⚠️ この欄は当面「口頭のみ」で運用してください。 ここで「やらない」と決めた項目が、戦闘力シートv0.21では未着手(深度0)として分母に入るため、 やらないと決めるほどスコアが下がり、等級が下がります
→ (a)N/Aで分母除外/(b)重みで吸収/(c)紙に残さない の三択が未決。決まるまで紙に書かない
12会社はどうサポートするか
★ ここを見る
  • 本人が遠慮していないか(空欄は「頼めない」のサインかもしれない)
  • 出すものがお金だけになっていないか(同行・紹介・時間の確保の方が効くことが多い)
HRが実際に手配するもの/期限
13どうやって進めるか
★ ここを見る
  • やり方を教えない。本人に説明させる
  • 次回の冒頭5分で本人がプレゼンする約束が取れているか
  • 思考の順番がおかしければ、答えでなく問いを返す
李英俊氏「入口管理=何を・どの順番で・どうやるかをプレゼンさせ、思考過程そのものを変える出典
返した問い/次回の宿題
14-16会社からの期待:目標・役割・評価
★ ここが最も手を抜けない
  • 目標=チームの目標と本人の挑戦が線で繋がっているか
  • 役割=「何を担う人か」が一文で言えるか
  • 評価何が起きていたら成功と呼ぶかを、始まる前に言葉にする
  • ※ここでいう評価は等級・給与の査定ではない。混同されると全部が壊れる
曽山哲人氏「組織目標と個人目標をつなげることで、各メンバーはチームのための動きができるようになります」/ 強いチームの3要素=共通目標・共通言語・共通感情 出典
目標(チーム目標とのつながり)
役割(一文で)
評価(何が起きていたら成功か)
02HR専用

本人には渡さない4ブロック

A. 見立て(HRの仮説)紙で渡さない・会話で当てる
この人はこう花開く
尖らせる方向
例:AI研究者/人脈お化け/発信の人/場をつくる人/数字を締める人
いま伸ばさないもの
苦手を平均化しない。伝えるときは「配分」として
合意できたか
□ 当てた □ 合意した(→ メンバー版①に昇格) □ 修正が入った □ まだ言えていない
B. 資質(楽な入口)上長版には出さない
四脳分類
A論理/B堅実/C友好/D冒険 ※全社診断(8/3〜9/30)の結果を流し込む
ソーシャルスタイル
ドライバー/エクスプレッシブ/アナリティカル/エミアブル
MBTI
型(人脈形成)
飛び込み/通い/発信/ギブ/紹介され/仲介/深掘り/再会/場づくり/同行
スタイル
⛰山登り型(見立てて狙う)/🌊川下り型(面白そうで飛び込む)
1行の見立て
注意
資質は「楽な入口」であって檻ではない。決めつけの材料にしない
C. 称賛の設計仕掛けは見せない
何が起きたら称えるか
量(会った数・投稿数)ではなく結果と変化を称える
どこで
Discordの活動報告 → スタンプ。重い発表会にしない
誰に言わせるか
HRが称えるより、周りが自然に反応する設計の方が効く
D. アラートHRのみ・エスカレ基準と1本化
方向性に納得していない
2回続けて③(なぜ)と②(どこへ)が埋まらない
武器と仕事が噛み合っていない
⑤の3ワードと、担当案件でやっていることが重ならない
成長実感がない
「進んでいる感覚が自他共にある」が本人から出てこない
検知したら
□ HR内で留める □ ULに相談 □ エスカレ(→ 別タスク「1on1レポーティング(ログは見れない)」の基準と統一する)
03HRの持ち駒

機会リスト ── 渡せる打席のパターン

1on1の前にこれを見て、その人に合いそうなものを2〜3個持っていく。本人から出てきたものが最優先で、これは出てこないときの備えです。メンバー版には載せません。

打席のパターン種類これが伸びる向いている人
新規案件のリードを持つ案件設計力・責任の重さやりきった経験がある人
提案・商談に同席する同行顧客対外・場慣れ社外がゼロの人の最初の一歩
社外イベントで登壇する発信社外への影響力書ける人・整理できる人
採用の面接官をやる役割人を見る目・言語化自分の言葉を持ち始めた人
社内勉強会を主催する場づくり社内への影響力・構造化「聞かれる人」になりたい人
他ユニット横断のPJに入る越境社内人脈・視野自分のチームに閉じている人
できている人に会いに行く外交暗黙知形式知は十分だが動けていない人
後輩の教育担当になる責任言語化・マネジメントの入口次の等級を狙う人
実物は事業側(UL)に埋めてもらう欄が要ります:いま実際に空いている打席はどれか。 ここが事業側から供給されないと、HRは「頑張ってください」しか言えません。
04回収

上に上げるもの/上げないもの

HRが下す判断回収する情報状態
誰に経費・機会を使うか(投資)⑫会社のサポート/⑦人脈の空白/⑨チャレンジ運用する
誰を今期は守るか(負荷)④降りたいこと/上長から見た実態とのズレ運用する
誰が危ないか(エスカレ)ブロックDのアラート運用する
組織全体で何が偏っているか(横断)⑤武器の分布/資質の分布(四脳診断と接続)全員分が揃ってから
どういう打席を渡すか(配置)一旦保留(下記)
「どういう打席を渡すか」は一旦保留にします。 現在の人数規模では、制度で機械的に割り当てるより、個々人ごとにケースバイケースで考えるほうが精度が高いためです。 仕組み化するのは、人数が増えて一人ずつ見きれなくなってからで間に合います。
→ それまでは機会リスト(§03)を見ながら、その都度HRが判断する運用にします。
回収しないもの:等級・深度・点数・戦闘力に関する情報/他人の評判・人物評/プライベート。
上げるのは本人と合意した結論だけ。生の言葉・迷い・愚痴は上げない。 ── 回収されるのは、本人に読まれても困らないものだけです。
05委譲

上長に渡すときのルール

フェーズ誰が回すか上長に渡すもの/渡さないもの
Phase 1(いま〜10月)HRが全員と実施—(HRが持つ)
Phase 2(10月〜)上長が実施・HRは月1レビュー渡す:①〜⑯の項目と「ここを見る」観点/渡さない:ブロックB(四脳・MBTI・型・スタイル)とブロックA(見立て)
Phase 3(来期)本人がシートを持って話す1on1の冒頭5分は本人のプレゼンから始める
上長に渡すときの3原則: ① 四脳分類・MBTI・型・スタイルを出さない(知らなくても回るようにする) ② 上長がやるのは「事実の確認」と「打席を渡せるか」の2つだけ見立てを立てるのはHRが持ち続ける(属人性が高く、渡すのは最後)
── これを守れば、上長に渡しても1on1が査定面談に変質しません。
⚠️ Phase 2を9月(評価共有期)に重ねない。重ねると「あれは査定の下ごしらえだった」と読まれ、一度で信頼が壊れます。